2015年12月21日にJR東京駅でオープンした「ビューゴールドラウンジ」を遅ればせながら体験してきました。冬期休暇に入り帰省客でごった返す時期を敢えて狙ってみましたよ。
すでに御存知かと思いますが、条件を軽くおさらい。場所はJR東京駅の改札外、八重洲中央口の真正面にあります。
利用条件は下記5件。グランクラスの切符を買えば、カード会員でなくても気軽にラウンジ体験できます。※グランクラスを気軽に購入できるかどうかは個人差があります。
- 「ビューゴールドプラスカード」会員であり、当日東京駅発の新幹線グリーン車・特急列車グリーン車を利用する者。
- 「ビューゴールドプラスカード」会員であり、「ラウンジご利用券」を持つ者。
- 当日東京駅発の「グランクラス」を利用する者。
- 上記1.~3.の同伴者であり、利用料3000円を支払った者。
- 上記1.~3.の同伴者であり、「ラウンジご利用券」を持つ者。
利用時間は、発車時刻の90分前から発車時刻まで。ここは空港ラウンジと違って、長時間利用を考えていないようです。まあ、狭いしね。
というワケで、体験記を始めましょう。ちなみに、とてもバシャバシャ撮影できるような雰囲気ではなかったので、内部の写真はありません。
外からも見えるように、ガラス戸のすぐ左側に受付カウンターがあります。上品な出で立ちの女性がカウンター内に2名、内扉の前に1名がスタンバっています。ラウンジの外壁は全面ガラスで開放的ですが、内扉奥にあるラウンジ内部は外から見えない構造になっています。
まずは受付を済ませます。ガラス戸から威風堂々と中へ入り、カウンターにいる受付係に「お願いします」と一声かけながらグランクラス券を手渡します。同時に人数を確認されるので答えます。すると受付係は切符の内容を確認しながら、何やらメモを取っていました。
メモを取り終えると、受付係から切符を返されるので受け取りましょう。このとき手荷物を受付に預けるかどうかを問われます。キャリーバッグはもちろん、皺にならないようコートも預かってもらえます。
ここからは内扉の前で待機していた案内係へとバトンタッチ。案内係が「お席までご案内します」と言うので、後について内扉からラウンジ内部へと入ります。案内係が座席を指定するシステムなので、浮き足立って勝手に座ってはいけません。スマートにエスコートされるのも大人の嗜みです。
案内係から「この席でも良いか?」と聞かれるので希望を伝えましょう。対面のテーブル席と、一人用の窓際席があるのですが、コンセントがあるのは窓際席だけです。
目的の席に到着すると、案内係が椅子を引いてくれます。ビビらないように心の準備が必要です。椅子の前で立つと案内係が椅子を戻してくれるので、静かに着席しましょう。このとき案内係に一言お礼を言えるとスマートです。
着席するとすぐに、案内係から化粧室の場所を説明されます。この説明はちゃんと聞いておいた方が良いです。なぜなら化粧室のドアがオシャレすぎて、言われなければドアだと気付けないからです。どう見ても上品な木目調の壁です。
説明が終わると、すぐにお手拭きと飲物メニューを渡されるので、好きなものを頼みましょう。私はスペシャルティコーヒーを頼みました。なお、ソフトドリンクと焼き菓子1点はラウンジサービスに付属するので、退出時に追加請求されたりしないので安心してください。ソフトドリンクはおかわり無限大です。
ここでようやく案内係が戻っていきます。至れり尽くせりのサービスぶりで、逆にこっちが緊張するぐらいです。キョロキョロしない程度に、改めてラウンジ内部を見渡してみます。
ラウンジにいる客は10人ぐらい。駅構内は帰省客でごった返しているのに、ここは嘘のような静けさです。窓側もぐるりとブラインドが取り囲んでおり、ラウンジの外が見えないようになっています。上品な内装もあり、この部屋だけ騒々しい外部から完全に隔離されているように感じます。
しばらくすると、コーヒーと焼き菓子がワゴンで運ばれ、テーブルの上に次々と並べられていきます。まるでホテルのルームサービスのようですが、実際にラウンジのスタッフは、東京ステーションホテルの方々らしいです。
高級感溢れる器が眩しい。スティックシュガーなんてもちろんありません。金属の皿に乗ったお手拭きなんて初めて見たよ。水のコップも背が高いし、コースターはしっかり水分を吸ってくれるほど分厚い。
コーヒーカップは厚さも薄く、造形も丁寧で、漂う高級感が半端ないです。そして一番大事なことですが、非常に美味。これだけでもラウンジに来た甲斐がありました。
焼き菓子はビューゴールドラウンジの文字が入った専用のもの。中身は一口サイズですが美味しかったです。なお、時期によって品が変わるようです。
ちょうど食べ終えた頃を見計らって、係からおかわりを聞かれます。今度はオレンジジュースを頼んでみました。細くて丈夫なストローで、色もコースターとお揃いでオシャレです。
オレンジジュースを飲み終えた頃に発車時刻が近づいてきたので、名残惜しいですが退出しましょう。退出時の手続きはありませんので、ドヤ顔でラウンジから歩いて出ましょう。
座席から立ち上がり、内扉へ進みます。途中で案内係とすれ違うと、サッと道を空けてくれます。内扉の前へたどり着くと、すでに案内係が待機しており「ありがとうございました」とタッチ式の自動扉を開けてくれます。
外扉も同様で、受付係が自動扉を開けてくれます。忘れ物はないか確認されるので、大丈夫と答えると共に、一言お礼を言うとスマートですね。
ビューゴールドラウンジの感想を一言で述べると、高級感を楽しむための時間と空間、でしょうか。よく空港ラウンジと比較するレビュー記事がありますが、視点がズレているように感じていました。空港ラウンジは、セキュリティエリアから出られない乗客が遅延や乗り継ぎの待ち時間を有効に過ごすための設備です。ターゲット顧客はビジネス客。
鉄道駅に空港ラウンジと同等のものを設置したら、鉄道会社として負けなんですよね。ラウンジが存在価値を持つような待ち時間を発生させた時点で、鉄道が持つ運行本数の多さと定時制という優位点が失われてしまうから。乗客は東京駅の発車時刻に合わせて家を出れば済む話ですから。実際に、あれだけ帰省客で溢れていたにも関わらず、ラウンジを利用していたのは10人程度です。それに、カフェだとか駅ビル内には他にいくらでも時間を潰す場所がある。
じゃあ、ビューゴールドラウンジの存在価値とはいえ何か?といえば、高級感の「演出」だと思います。ビューゴールドカードプラスにせよ、四季島にせよ、超高額のサービスを利用する優良顧客に対して、JR東日本は他サービスとの差別化を示す必要があると考えたのだろうなあと。
だからビューゴールドラウンジのターゲット顧客は富裕層ですよ。だから座席数も少ないし、コンセントのある席はさらに少ない。ビジネス客は相手にされていません。それは外部とは隔離された上品な空間と、一人一人に対応したキメ細かなサービスに現れていたと思います。
0コメント